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2024.12.02

歯科治療で使われる「麻酔」の仕組みとは?


歯科治療の中で、「麻酔」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。特に歯を削ったり、抜歯したりするときには欠かせないものです。
しかし、「麻酔って何をしているの?」「どんな仕組みで痛みを感じなくなるの?」と疑問を持つ方もいらっしゃるでしょう。今回は、歯科治療で使われる麻酔の仕組みについて詳しく解説します!

麻酔とは何か?
歯科治療で使われる麻酔の種類
局所麻酔の仕組み
麻酔は安全なのか?
麻酔を受けるときの注意点
まとめ

麻酔とは何か?

まず、麻酔の基本的な定義についてお話します。
「麻酔」とは、薬剤を使って体の一部または全体の感覚や意識を一時的に鈍らせる、あるいは失わせる医療技術です。歯科治療で使われるのは、主に局所麻酔と呼ばれる種類で、特定の部位だけを無痛状態にします。

麻酔の目的は以下の3つです:

(1) 痛みを取り除く
(2) 治療中の患者さんの負担を軽減する
(3) 医師が安全かつスムーズに治療を行えるようにする

特に歯科治療では、痛みを伴う手技が多いため、患者さんに安心して治療を受けていただくために麻酔が欠かせません。

歯科治療で使われる麻酔の種類

歯科医院で行われる麻酔にはいくつか種類があります。それぞれの特徴について見ていきましょう。

(1) 表面麻酔
治療の前に使用される麻酔で、注射をする前に歯茎の表面に塗るものです。ジェルやスプレー状の薬剤が使われることが多いです。
目的は、注射針を刺すときの痛みを和らげることです。

(2) 局所麻酔
歯科治療で最もよく使われる麻酔法です。薬剤を注射して、神経の伝達を一時的にブロックすることで、治療部位の痛みを感じなくします。
この麻酔は数分で効果が現れ、30分から数時間持続します。虫歯の治療や抜歯、歯周病の手術など幅広い場面で使用されます。

(3) 静脈内鎮静法
静脈内鎮静法は、点滴で鎮静薬を投与することで患者さんをリラックスさせる方法です。治療中は半分眠ったような状態になるため、不安感や恐怖心を和らげることができます。

ただし、静脈内鎮静法は麻酔とは異なり、痛みを直接取り除くものではありません。そのため、通常は局所麻酔と併用されます。
この方法は、特に恐怖心が強い患者さんや長時間の治療が必要な場合に適しています。

静脈内鎮静法のメリット

・不安や恐怖心を軽減
・治療中の記憶が薄れるため、患者さんの負担を軽減

一方で、事前の検査や麻酔医による管理が必要なため、一般の麻酔法より準備に時間がかかることがあります。

(4) 笑気麻酔
不安感や恐怖心が強い患者さんに用いられる方法です。酸素と混合した笑気ガスを鼻から吸入することでリラックス効果が得られます。
ただし、痛みを直接取り除くものではないため、局所麻酔と併用されることが一般的です。

(5) 全身麻酔
歯科治療で全身麻酔が使われるのは、特に難易度の高い手術や小児患者、障がいのある方の場合です。意識を完全に失わせるため、手術中の痛みや恐怖心を完全に取り除きます。

局所麻酔の仕組み

それでは、歯科治療で最も一般的に使われる局所麻酔の仕組みについて、詳しく説明します。

(1) 痛みの伝わり方
痛みは「侵害受容器」と呼ばれる皮膚や粘膜にあるセンサーが刺激を感知することで始まります。この刺激は神経を通じて脳に伝わり、「痛み」として認識されます。

【痛みの伝達の流れ】
1. 侵害受容器が刺激を感知(例:歯を削る)
2. 神経細胞に電気信号が発生
3. 電気信号が軸索を通じて伝わる
4. 脊髄などを経由して脳へ到達
5. 脳が「痛み」を認識

(2) 麻酔薬の働き
局所麻酔薬は、神経細胞の軸索に作用して電気信号の伝達をブロックします。具体的には、ナトリウムイオンチャネルという構造を一時的に閉じることで、痛みの信号が脳に伝わるのを防ぎます。

【麻酔薬の作用メカニズム】
1. 麻酔薬が注射されると、神経細胞の近くに拡散します。
2. ナトリウムイオンの流入を阻害し、電気信号が発生しなくなります。
3. 結果として、痛みの感覚が脳に届かなくなります。

この仕組みにより、治療中に痛みを感じないようになるのです。

麻酔は安全なのか?

麻酔薬に対する不安を感じる方もいらっしゃいますが、歯科医院で使用される麻酔薬は、非常に安全性が高く、適切な使用法を守る限り副作用のリスクは低いです。

(1) 一般的な副作用
ただし、稀に以下のような副作用が現れることがあります。
・一時的なしびれや腫れ
・血圧の低下やめまい
・アレルギー反応(非常に稀)

これらのリスクを最小限に抑えるため、事前に患者さんの健康状態やアレルギー歴を確認します。

(2) 麻酔が効きにくいケース
患者さんによっては、麻酔が効きにくいことがあります。その原因としては、炎症が強い場合体質的な要因が考えられます。そのような場合でも、追加の麻酔や麻酔法の変更を行うことで対処可能です。

麻酔を受けるときの注意点

麻酔を受ける際には、以下のポイントに注意してください。

(1) 治療前の注意
・食事や飲み物を控える必要がある場合があります(特に静脈内鎮静法や全身麻酔の場合)。
・持病や服用中の薬については、必ず歯科医師に伝えましょう。

(2) 治療後の注意
・麻酔が効いている間は、唇や舌を噛まないように気をつけてください。
・麻酔が切れる前に強い痛みが出る可能性がある場合は、痛み止めを処方されることがあります。

まとめ

歯科治療で使われる麻酔は、「痛みを感じさせない」ための重要な技術です。特に局所麻酔は、神経の伝達を一時的に遮断することで、治療中の痛みを取り除きます。安全性も高く、多くの方が安心して治療を受けられるようになっています。

もし麻酔に関してご不明な点や不安がある場合は、遠慮なく当院にご相談ください!
患者さん一人ひとりに合った麻酔法で、快適な治療を提供いたします。

東京立川歯科
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