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2024.04.20

歯周病・歯槽膿漏の治療


「歯周病」や「歯槽膿漏」という病気が進行すると歯が抜ける。そのため定期検診や早期治療をしましょうというお話しを聞いたことがある人もいると思います。
今回は、どんな時にどんな治療を行う必要があるのかをお話ししていきます。

歯周病とは
歯周病の進行
歯周病のステージごとの治療法
歯が抜けてしまった場合の治療法
歯周病の予防法
まとめ

歯周病とは

堅い表現とすると、「歯周病は、細菌由来の毒素などにより惹起される炎症性疾患」です。

外敵である細菌が体内に侵入すると、細菌と戦うために、体の兵隊である白血球などの免疫細胞を送り込みます。その際、白血球などを現場に送るための道である血管が拡張、増成します。結果、歯ぐきが腫れたり、充血したりします。
そして敵を倒すための酵素などを使い細菌を攻撃します。しかし、これらの作用は自分の組織も傷つけてしまい、戦闘(炎症)が長引くと歯を支える骨が炎症から逃げるために吸収していき、吸収量が大きくなると歯の支えが弱くなり、揺れが大きくなったり、根の先まで吸収が進むと最終的に歯が抜けてしまいます。

歯周病の進行

健康な歯周組織から炎症が起こるとまず歯肉炎という状態になります。さらに進行すると歯周炎という状態になります。歯周病とは歯肉炎と歯周炎を合わせた名称になります。

歯肉炎とは歯ぐきが腫れているものの、歯と歯ぐきの付着(アタッチメント)の喪失や骨吸収がない状態のものを言います。

歯周炎は、歯肉炎から進行し、付着の喪失(アタッチメントロス)や骨吸収が起こってしまったものを言います。また、歯周炎は進行程度により、細かく診断をすることがあります。

歯周病のステージごとの治療法

健全な歯周組織
今の健康な状態を維持し、歯周病(歯肉炎・歯周炎)の予防、早期発見、早期治療を行います。
治療内容:口腔衛生指導(歯磨き指導など)、機械的歯面清掃(クリーニング)、スケーリング(歯石取り)

歯肉炎
歯ぐきが腫れているが、骨の吸収がないためまだ元に戻る状態です。この時に治療を開始できるかが重要です。
治療内容:口腔衛生指導、機械的歯面清掃、スケーリング

歯周炎
歯ぐきが腫れ、骨が吸収している状態です。歯を支えている骨の吸収が進むと歯の動揺が大きくなり、根の先まで吸収すると最終的に歯が抜けてしまいます。条件が整っていれば吸収した骨を再生させることも可能ですが、基本的には元には戻らない状態です。さらなる進行を抑え、再発防止が大切になってきます。また、歯周ポケットが深い(一般的には4mm以上)と歯ぐきの下の汚れを除去することが難しくなり、歯周外科治療を行わないと改善しづらくなります。

軽度歯周炎(歯周ポケットが3mm以下)
治療内容:口腔衛生指導、機械的歯面清掃、スケーリング、ルートプレーニング(深い部分の歯石取り)

中等度歯周炎(歯周ポケットが4mm〜6mm)
治療内容:口腔衛生指導、機械的歯面清掃、スケーリング、ルートプレーニング、歯周外科治療

重度歯周炎(歯周ポケット6mm以上)
治療内容:口腔衛生指導、機械的歯面清掃、スケーリング、ルートプレーニング、歯周外科治療

保存できない場合は抜歯、神経が死んでいる場合は歯内治療などを行う場合もあります。
また条件が揃っている場合は歯周組織再生療法行うことが可能です。

歯が抜けてしまった場合の治療法

歯が抜けてしまった場合、そのまま放置しておくと咀嚼がしづらくなるだけでなく、隣の歯が倒れてきたり、噛んでいた相手の歯が出てきたりして歯並びが崩れていきます。そのため、歯を抜いた場合は、欠損補綴という治療で機能回復を行います。
欠損補綴にはブリッジ、入れ歯、インプラントの3つの方法があります。

ブリッジ(隣の歯を支えにした橋渡しの補綴物)
メリット:取り外しをしなくて良い、比較的短期間で治療が可能
デメリット:隣の歯を削らなくてはいけない、隣に歯がないと作れない(一番奥の歯を失った場合など)、連続した歯を失うと作れないなど

入れ歯
メリット:ブリッジに比べて歯を削る量が少なく済む、多数歯欠損にも対応可能
デメリット:取り外しやお手入れが煩雑、咀嚼効率に劣る、慣れるまで違和感が強い場合がある

インプラント
メリット:周りの歯を削らなくて良い、取り外ししなくて良い、天然歯同様に食事が可能
デメリット:きちんと管理しないとインプラント周囲疾患(インプラントの歯周病)になる、外科的処置が必要、基本的に保険診療の適応外

歯周病の予防法

歯周病は前述した通り、口腔内細菌が原因で発生するため、歯周病の予防で最も大切なことは日々の歯磨きです。

歯磨きの時に歯ブラシのみで、歯と歯の間の汚れを綺麗に落とすことは困難です。そのため、フロスや歯間ブラシなど補助的清掃器具を併用することでプラークの残存率を改善することができます。(歯磨きのコツはこちらへ)
また、歯周病を進行させるリスクとして喫煙糖尿病が知られています。そのため禁煙治療や糖尿病治療を行うことが歯周病の予防・治療に関係してきます。
各個人によって歯並びなど口腔内状態や全身状態は異なるため、歯科医師にお話を聞くことが解決への糸口になると思います。

まとめ

歯周病の治療の基本は日々の歯磨きです。しかし、進行してしまった場合には外科手術を行わないといけない場合もあります。そのため、歯を残していきたい場合は歯周病専門医への受診をお勧めします。

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